新興国株に投資をする場合にまず最初に考えるのが新興国の株式市場全体に投資をするということではないでしょうか?
新興国が魅力的とわかっていても、結局どの銘柄が魅力的なのか?
という点までは分かりませんからね。
そのような方がまず出会うインデックスとしてVWOやEEMといったものがあります。
本日はVWOやEEMといった新興国のインデックス投資がおすすめできるものなのか?
という点についてお伝えしていきたいと思います。
〜もくじ〜
【VWO】バンガード社の代表的新興国インデックスETF
まずバンガード社が運用しているバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)について見ていきたいと思います。
VWOが連動するインデックスとは?手数料は?
ETFは連動を目指すインデックスが存在しています。
VWOの場合、連動を目指すインデックスは「FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス」です。
同インデックスは新興国の株式をTOPIXのような時価総額順に組み入れた時価総額加重平均指数です。同インデックスのデータを列挙すると以下の通りです。
構成銘柄数 | 4059銘柄 |
収益成長率 | 13.9% |
PER | 14.1倍 |
ROE | 16.3% |
手数料率は年率0.1%とVOOやVTIの0.03%と比べると若干高いですが、十分低コストですね。100万円投資しても年間手数料はたったの1000円なのですから。
VWOの国別構成比率-中国・台湾偏重の構成比率-
以下がVWOの国別構成比率の表です。
ご覧いただければ分かる通り、中国と台湾だけで約60%を占めるという状況になっています。更にブラジル、南アフリカ、ロシアといった低迷する国を組み入れると全体で80%近い比率になります。
国 | 構成比率 |
中国 | 43.1% |
台湾 | 15.4% |
インド | 9.3% |
ブラジル | 5.9% |
南アフリカ | 4.1% |
ロシア | 3.2% |
サウジアラビア | 3.0% |
タイ | 2.9% |
マレーシア | 2.4% |
メキシコ | 2.1% |
インドネシア | 1.7% |
フィリピン | 1.1% |
カタール | 1.0% |
クウェイト | 0.8% |
トルコ | 0.7% |
チリ | 0.7% |
アラブ首長国連邦 | 0.7% |
その他 | 1.9% |
新興国とはいえ、時価総額加重平均指数なので、既にあるていど株式市場が成長しきっている国の比率が大きくなるのです。
特に、「過剰設備」「過剰労働力」「過剰債務」を抱え米中関係が悪化している中国の比率が高いことは非常に懸念されますね。
中国のテックジャイアントを始めとした巨大企業が上位を占める
以下はVWOの構成上位銘柄です。
10社中7社が中国企業で、上位2社はアリババ、テンセントといった中国巨大ハイテク企業(テックジャイアント)で構成されています。
順位 | 銘柄 | 国 セクター |
1 | Alibaba Group Holding Ltd アリババ |
中国 ハイテク テックジャイアント |
2 | Tencent Holdings Ltd. テンセント |
中国 ハイテク テックジャイアント |
3 | Taiwan Semiconductor Manufacturing 台湾セミコンダクター |
台湾 製造 半導体製造 |
4 | Meituan Dianping 美団点評 |
中国 サービスセクター 口コミサイト |
5 | Naspers Ltd. ナスパーズ |
南アフリカ 情報通信セクター メディア通信業 |
6 | China Construction Bank Corp. 中国建設銀行 |
中国 銀行セクター |
7 | Reliance Industries Ltd. リライアンス |
インド エネルギーセクター 石油・ガス開発 |
8 | Ping An Insurance Group Co. 中国平安保険 |
中国 金融セクター 保険 |
9 | JD.com Inc. 京東商城 |
中国 一般消費財 ECサイト運営 |
10 | ICBC Babk 中国工商銀行 |
中国 金融セクター |
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 25.3 %
ちなみに同じくテックジャイアントの百度(バイドゥ)が入っていませんが、これはADRとして米国株市場に上場していないことが起因していると考えられます。
VWOのリターンを比較
では肝心なリターンを見ていきたいと思います。
以下はVWOと全世界株のリターンを表す同じくバンガード社運営のVTとS&P500指数の値動きの比較です。
新興国(VWO):青色
全世界(VT):赤色
S&P500:橙色

年率リターン | リスク | 最大リターン | 最大損失 | |
VWO | 7.18% | 20.38% | 76.28% | ▲18.76% |
VT | 9.79% | 16.05% | 32.65% | ▲9.76% |
S&P500 | 13.54% | 14.58% | 32.18% | ▲4.52% |
リーマンショック以降、中国が60兆円の財政支出をおこなったことでいち早く立ち直り、一時的に新興国の時代が訪れました。
しかし、そのあとは長続きせず結局2011年の水準を10年間続けるという低いリターンに終始してしまっています。
概ね傾向としては世界株や米国株と連動していますが、上昇がとれていないことが二つに対して劣後してしまっている要因となっていますね。
続いてEEMについて見ていきましょう。EEMの正式名称はiShares MSCI Emerging Markets ETFとなります。
EEMが連動するインデックスとは?手数料は?
EEMが連動を目指すインデックスはMSCIエマージング・マーケッツ・インデックスです。
MSCIエマージング・マーケッツ・インデックスも時価総額加重平均指数です。
先ほどのVWOが連動を目指すFTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスとは組み入れ構成国に韓国を組み入れるかどうかという若干の差が存在します。
構成銘柄数 | 1205銘柄 |
収益成長率 | 13.9% |
PER | 14.7倍 |
ROE | 16.3% |
参照:iShares
構成銘柄数がVWOが4059銘柄であったことを考えると、EEMは少なく大型、中型銘柄中心で組み入れていることがわかります。
EEMの手数料は0.68%とインデックス投信としては高い水準で、VWOの0.1%と比較すると大きく見劣りします。
VWOの国別構成比率-中国・韓国・台湾で60%-
以下はEEMの国別構成比率ですが、VWOと比べて韓国が3位にランクインした以外は順位は全て同じです。
国 | 構成比率 |
中国 | 40.30% |
台湾 | 12.09% |
韓国 | 11.43% |
インド | 7.89% |
ブラジル | 5.06% |
南アフリカ | 3.72% |
ロシア | 3.18% |
サウジアラビア | 2.62% |
タイ | 2.22% |
マレーシア | 1.73% |
その他 | 9.78% |
EEMの構成上位銘柄
では構成上位銘柄について見ていきましょう。
順位 | 銘柄 | 国 セクター |
1 | Alibaba Group Holding Ltd アリババ |
中国 ハイテク テックジャイアント |
2 | Tencent Holdings Ltd. テンセント |
中国 ハイテク テックジャイアント |
3 | Taiwan Semiconductor Manufacturing 台湾セミコンダクター |
台湾 製造 半導体製造 |
4 | Smasung サムスン |
韓国 ハイテク |
5 | Naspers Ltd. ナスパーズ |
南アフリカ 情報通信セクター メディア通信業 |
6 | Meituan Dianping 美団点評 |
中国 サービスセクター 口コミサイト |
7 | China Construction Bank Corp. 中国建設銀行 |
中国 銀行セクター |
8 | Reliance Industries Ltd. リライアンス |
インド エネルギーセクター 石油・ガス開発 |
9 | Ping An Insurance Group Co. 中国平安保険 |
中国 金融セクター 保険 |
10 | JD.com Inc. 京東商城 |
中国 一般消費財 ECサイト運営 |
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 28.18 %
4位にサムスンが入ったこと以外はVWOと同じ順位構成になっています。またトップ10位銘柄の割合がVWOの25%から上昇していることからも、組み入れ銘柄はVWOに比して大型株に偏重していることが読み取れます。
EEMの成績をVWOと比較
以下はVWO(青)とEEM(赤)の比較チャートです。
ほとんど遜色ない成績となっていますが、若干VWOの方が良い成績となっていますね。

2006年- | 年率リターン | リスク | 最大リターン | 最大損失 |
VWO | 4.42% | 22.24% | 76.28% | ▲61.73% |
EEM | 4.14% | 22.47% | 68.93% | ▲60.44% |
両者とも値動きを表すリスクが高いにも関わらずリターンが低く、軟調な成績といわざるを得ません。特に最大損失は60%を超えるものとなっており、ハイリスクな投資先であるということができるでしょう。
VWOとEEMの比較まとめ
VWOとEEMを総括するとVWOの方が構成銘柄数、手数料、リターンの面で魅力が高いという結果になります。
VWO | EEM | |
構成国 | 中国 台湾 合計50% |
中国 台湾 韓国 合計60% |
構成銘柄数 | 約4000 小型株効果 得やすい |
約1200 |
手数料 | 0.1% | 0.68% |
リターン | 殆ど同じだが VWOの方が若干高い ただどちらも リスクが高い |
本当に魅力的な新興国投資とは?
今までVWOとEEMについて比較してきました。
若干VWOの方が良い結果になりましたが、そもそも新興国のインデックス投資には問題点があります。
まず、中国、韓国、台湾、ブラジル、ロシアのような今後成長が見込みにくい国が70%-80%の比率で組み入れられていることです。
折角新興国株投資を行うのであれば、高い成長が見込める国に投資したいですよね。
更に、百度が組み入れられていないことから分かる通り、米国株市場に上場されているADRを中心に組み入れられており、全ての銘柄が組み入れられていないという問題点もあります。
インドのセンセックス指数に連動するETFがないことから分かる通り、ADRだけでは本当の新興国の株式市場に連動するパフォーマンスは得られないのです。
では、どのような新興国株投資が魅力的なのでしょうか?
それは、以下の条件を満たしている新興国株への投資だと思います。
- 今後成長力が高い伸び盛り新興国
- 割安に放置されている新興国
- 世界経済の影響をうけにくい新興国
特に2つ目と3つ目を実現するためには普通の新興国株投資をしていては不可能です。
投資環境が開かれており、先進国の投資家が投資できる国ではインドのように分かりやすく魅力的な新興国株は既に株価が割高になってしまうからです。
また、コロナショックやリーマンショックのような危機が訪れる時には先進国の投資家が新興国から資金を引き上げるため、新興国株を大暴落となります。
つまり、まだ先進国投資家に門戸が広く開かれていない国に、直接証券口座を開設して先行投資を行い他者に先んじて仕込んでおく必要があるのです。
とはいっても個人でこのような投資を行うことはできません。そこで筆者はプロの新興国ファンドへ投資を行い上記の投資を実践しています。
筆者が投資を行なっているフロンティアキャピタルは上記戦略でコロナショックでも円建ベースで20%以上のリターンをあげています。
以下で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
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